本に包囲された日々
部屋は本まみれ。家業の経理をこなしつつ、本を読む。
脂肪の歴史 (「食」の図書館)
文字通り、食指の動く巻だけ買ってるシリーズ最新刊。



食べるのがやっとだった時代は、美味・豊かさや権力の象徴だった脂肪。絶対に必要な栄養なのに、近年は特に嫌われ者。

飽和脂肪酸、トランス脂肪酸と悪の標的は突然変わり、企業はそのたびに、新しい製法を編み出す。「健康に良い」をうたう新商品が氾濫する一方で、昔ながらの「自然な」油脂への回帰もある。

極端に偏って摂取しなければいいだけだと思うけどね。
こってりした美麗図版多数。



マリー・アントワネットの嘘(惣領 冬実、塚田 有那)
コミック「マリー・アントワネット」の副読本。コミック化にあたっての経緯、作者のこだわり、萩尾望都との対談など盛りだくさん。

本のタイトルはというと、第一章で、マリー・アントワネットにまつわる言い伝えの「嘘」を七つ取り上げている。

例の「パンがなければお菓子を食べればいいじゃないの」セリフは嘘だという、いまさらな項目はどーでもいい。

そんなことより、ルイ16世とアントワネットに、結婚後七年間子どもができなかった真の理由に驚き!なんと2002年にフランスで発行された評伝(本邦未訳)で、歴史に埋もれていた手紙の存在により、赤裸々な事実があきらかになっていた。




従来説では

「ルイ16世は重度の包茎による不能で、医師から簡単な手術を勧められていたが、優柔不断な性格によりなかなか決断できず、業を煮やしたオーストリア皇帝ヨーゼフ2世(アントワネットの実兄)の説得により、手術を決断、ようやく正常な夫婦生活を営むことができた」

ところが新たに発見された、ヨーゼフ2世が弟に書いた手紙には、妹夫婦の性生活の様子(もちろんヨーゼフ2世は妹夫婦本人たちから直接聞いた)が具体的に書かれ、読めば「そりゃ子どもができないはずだ…」という内容。250年後にこんなことを世界中にバラされるなんて…。

ともあれ、コミックの副読本として両方読めばよりいっそう面白くなる内容だった。
マリー・アントワネット(惣領 冬実)
「史上初!ヴェルサイユ宮殿監修」のコピーに納得の一冊。カバーの美男美女はアントワネットとフェルゼン?かと思いきやまさかのルイ16世。短躯・肥満・愚鈍だったというかつての定説とは違い、長身の美男子に描かれている。美男ぶりは多少の創作らしいが、かなりの長身(192cm)だったのは史実。頭脳も明晰で新思想にも詳しい教養あふれる知的な男性であった…と近年の研究は進んでいるそうな…。

ヒロイン、アントワネットもたまらなく魅力的な少女に描かれている。


ツヴァイクの流れを汲む定説(ベルばらも当然これに含まれる)を、丹念な史実研究で覆していく最近の学説を反映させたコミック。たった一冊で終わるのが非常に残念。




景色、建物、家具調度、衣装、装身具など芸術的なまでに描かれているのがまたうっとり…。自分はドレスの正確な描きこみに特に感動した。この時代のドレスは、正面から見ると左右に大きく張り出しているが、横から見ると前後の張りは左右ほどではない。360度ぶわーっと広がるシルエットはもっと時代が下がってから。1989年、京都服飾文化研究財団が主催した「華麗な革命」展覧会で当時の実物のドレスを見て以来、そういう微妙なシルエット描写が不正確なコミックが多いのが気になっていたが、この本は完璧。

「チェーザレ」を再開するという作者が、このコミックの続きを描くのはもう無理なんだろうけど…本当に残念。

ヴェルサイユ宮殿監修「マリー・アントワネット展」が開催される影響もあってか、アントワネット関連の書籍がいろいろ出版されていて、最近立て続けに読んでる。
おいしいロシア(シベリカ子)
「おそロシア」感はまったく無いゆる~い感じのコミックエッセイ。ロシア人のだんなさんと一緒に、一年間ロシアで暮らしたことを食を中心に描いた内容。ゆるゆるな絵柄なんだけど、美味しい感じは楽しめる。肉とか魚とか日本みたいにお手軽サイズにパックされていないので、料理の下ごしらえに手間がかかるのがちょっと大変そう。

ちゃんとビーツを使ったボルシチを食べてみたい…。

ところで「ブリヌイ」にはドライイースト入れるのか入れないのかどっちなんだろう。材料描写には描いてあったのに、レシピには書いてなかった。






鉄道忌避伝説の謎―汽車が来た町、来なかった町 (歴史文化ライブラリー)
「鉄道が通ると、桑畑が荒れたり宿場が廃れる」などの理由で明治期に鉄道が忌避された地方がある。そういう愚かな反対運動をしたために鉄道の恩恵が受けられず、古くから栄えていたその地方は衰退してしまったのだ。

…という「鉄道忌避伝説」があるらしい。

それがガセネタ伝説であることを検証した本。

そもそも「鉄道忌避伝説」を知らなかったし、地理オンチの上、そういう伝説のある土地に馴染みもないので、内容的には読みにくかった。しかし「いつのまにか事実となってしまった風説」を掘り起こして、それがいかにあり得ないことであるか検証する、という丹念なプロセスが面白い。そういう近現代史のいい加減な風説が一端広まってしまえば、それを否定するのには大変な労力が必要であるのがわかった。

最近問題になった「江戸しぐさ」もそうだが、この鉄道忌避伝説も、学校の社会科副読本にまで掲載されていて、しつこく被害を広めているらしい。

「近現代史のいいかげんな風説」問題には最近すごく興味を魅かれている。
人類とカビの歴史
壮大な概説のようなタイトルだが、家電や住居などの身近なカビの記述が詳しい。著者はメーカーからの依頼で調査したりもするカビの専門家。全自動洗濯機やエアコンのカビが問題になった過程がよくわかる。エアコン内部のカビ、メーカー側は最初は「ユーザーがフィルター掃除をサボっているせいではないか」と疑っていたそうで。今ではエアコンクリーニングサービスが当たり前になっている。

「カビはいるのが当たり前。長年人類と共存してきた。そんなに嫌わないで」という著者のカビへの愛が溢れていた。

最初、図書館で読んで済ませようかと思った本だが、パラ見した時点で購入を決意。何度も読んでいる。




今ひとたびの戦後日本映画(川本三郎)

昭和20~30年代の日本映画から、「ついこの間の戦争」の痕跡をとりあげた内容。

特に説明もなく登場する「戦争未亡人」とか「復員兵」に、映画の作り手が何を託して、観客が何を感じたのか、歴史というものの一端を感じる。

「ゴジラ」の首都破壊シーンで、逃げ惑う群集から唐突に、とある母子がクローズアップされる場面。逃げることをあきらめ死を覚悟した母親が子どもを抱きしめながら「もうじき、お父様のそばに行くのよ」と語りかける。ここにも戦争未亡人が。

ノスタルジーと言ってしまえばそれまでだが、いつ読んでも味わい深い文章。とりあげられた映画を観てなくても問題なく読める(観ればもっといいんだろうけど)。

ハードカバーを本棚の奥からひっぱりだして再読。
二度、文庫化されているが現在どちらも品切れっぽい。
ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃


町山智浩の映画塾!「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」<予習編> 【WOWOW】#162

町山智浩の映画塾!「ゴジラ モスラ キングギドラ 大怪獣総攻撃」<復習編> 【WOWOW】#162

↑ この解説動画を観て、いてもたってもいられなくなってレンタルして観た。

「ゴジラ=英霊説」と諸星大二郎的民俗学の合体!
「インファント島の守り神モスラ」「金星から来た宇宙怪獣キングギドラ」という設定は無し!倭護国の神として登場!
タイトルで省略されちゃった上にゴジラにボコボコにされるバラゴン可哀想!
わんこ助かってよかった!

現代のCGしか知らない世代は知らんけど、着ぐるみ特撮で育った世代だから多少のチャチさも平気。

ひさしぶりにゆっくり映画を観る時間がとれたので、堪能した。

あとは復習。
川本三郎の評論「ゴジラはなぜ“暗い”のか」を読み返そうと収録された本をひっぱり出すために、いれと庫大移動。
伊福部昭のサントラCDもえっちらおっちら掘り起こす。
6月7日
萩尾望都さんの新作掲載 少女漫画雑誌が異例の重版

朝からNHKのニュースに驚いた。
までもよかった。他の連載楽しみにしている人が気の毒だったから。

それにしても「繊細かつ華やかな絵柄でファンの熱狂的な支持を集める漫画家の萩尾望都さん」…って…。
萩尾望都を、ポーを読んでない人がニュース原稿書いた感アリアリ。
月刊flowers(フラワーズ) 2016年 07 月号 [雑誌]
ネットでは瞬時に売り切れてしまってた。予約していなかったのであせったが、リアル書店で他店舗から取り寄せてもらって購入。他の連載目当てで普通に購入していたのに今回買えなかった人達がかなりいるようで、ひどいもらい事故だ。ごめんね。

前後編の前編かと思ったら「Vol.1」の表記。不定期連載になりそう。うーんちょっと追いかけるのは面倒。通常購入者は今回の件で離れ、「ポー」目当ての購入者が継続購入するかは怪しい。フラワーズの未来はどっちだ。

で、「ポー」だけど、「現在の萩尾望都が描くポーの一族」と思って読むので、それなり。絵柄がどーのこーの言う感想も散見するが、過去シリーズも絵柄は激変してたからなぁ。






copyright © 2005 本に包囲された日々 all rights reserved.
Powered by FC2ブログ.