本に包囲された日々
部屋は本まみれ。家業の経理をこなしつつ、本を読む。
黒鳥(山岸凉子)

表題作「黒鳥」は、著名な振付家バランシンの3度目(正式には2度目)の妻となったアメリカ人バレリーナ、マリア・トールチーフが語り手。

バランシンはその時目指すものが露骨に配偶者に反映していて、最初は同じロシアからの亡命バレエ・ダンサーであるアレクサンドラ・ダニロワ。アメリカに亡命後はハリウッドに野心を燃やし、女優でもあるヴェーラ・ゾリーナ。そしてアメリカという土地に魂を根付かせようと、ネイティブの血をひくマリア。そして最後の妻はいわゆるバランシン・スタイルを体現する美しいプロポーションを持つタナキル・ル・クラーク。要するに自分の目指す芸術を体現する若い女性を渡り歩いている。





バランシン&スザンヌ
そして晩年は40歳も年下のスザンヌ・ファレルにご執心で、スザンヌは偉大な振付家への尊敬と、老人に言い寄られる(オェ)困惑から一時スイスの20世紀バレエ団(当時)へ逃げ出したこともある。まだ19歳のうら若いスザンヌに振付けるバランシンの写真(貼ってみました。クリックすると拡大)をみたことがあるが、もう手取り足取りぴったり指導、という感じでそういう事情を知って眺めると興味深い(キモイ)。

「予言のウソ」のくだりは、若いタナキルの出現により、自分が夫にとって不要な存在となってゆくのを自覚したマリアの妄想で語られる。妄想に登場するのはマリアの祖父。彼は部族のシャーマンだった。

「幸運を予言しても、言われた当人はただ幸運を待つだけで努力しない。そして幸運がこなかったと預言者を非難し、不幸な気持ちになる。しかし不幸を予言すれば、不幸を避けるために預言者の言うことに従って努力する。不幸がこなければ預言者に従ったおかげ、不幸がやってくれば予言が当たったことになる」「よく当たる預言者とは不幸ばかりを告げる者をいう」

バレエ界の実話をベースにした男女の愛憎と「予言のウソ」を合体させたおはなし。バランシンとの離婚後、マリアが「今ならブラックスワンを踊れる!」というところの絵が素晴らしい。

★★★
仕入れ処理済ませる。
暖かくいい天気でもったいないが、今日はゆとり日ということで午後はダラケる。
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