本に包囲された日々
部屋は本まみれ。家業の経理をこなしつつ、本を読む。
江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統(原田 実)
江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統 (星海社新書)江戸しぐさの正体 教育をむしばむ偽りの伝統 (星海社新書)
(2014/08/26)
原田 実

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「江戸しぐさ」と称する偽史がどのように生まれたのか、拡散されていったのかを丁寧に解説した書。

そんなものがここまで広まっていたとはネットで読むまで知らなかった。かつての「水からの伝言」や「EM菌」のように、教育現場でいつのまにか浸透し始めているらしい。

「1980年代」に、とある個人が生み出したネーミングが、まるで江戸期に実在したかのような概念として広まってゆく…。かなりゾッとする話だ。近世歴史家や近世文学史の専門家が阿呆らしい話と無視し続ける間に、義務教育期にそれを知った世代が大勢大人になってゆく。世の中の大多数がそうなっていけば…本当の歴史になってしまうかもしれない。

「江戸時代の江戸しぐさ資料が現存しないのは、維新政府に徹底的に弾圧され、消滅したため。江戸しぐさは弾圧を逃れた人々が口頭で伝承してきた」という主張。ちょっと歴史を知っていればアホか、ということも、いったん信じてしまった人はかんたんに騙されてしまう。

この本を読みなから、今は亡き杉浦日向子のことがしきりに思い出された。

杉浦日向子ファンが「江戸しぐさ」を礼賛する事のやるせなさ

↑ にあるように、彼女が病に倒れた時期と、江戸しぐさが広まり始めた時期が重なっているような…。
在野で活躍していた彼女が健在なら、ここまでこの江戸しぐさブームは浸透しなかったかもしれない。

モラルやマナーを提起するのに歴史を捏造するのは、気持ち悪い。
根拠の無い「昔は良かった」的な「現実逃避」でしかない。

★★★
ギックリ腰養生を兼ねて、本日届いたこの本を横になって読む。昨日よりちょっと痛みがマシになったかな。
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