本に包囲された日々
部屋は本まみれ。家業の経理をこなしつつ、本を読む。
この世界の片隅に(こうの 史代)
この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)この世界の片隅に 下 (アクションコミックス)
(2009/04/28)
こうの 史代

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この季節になると読み返すコミック。

太平洋戦争まっさかりの時代、19歳で広島市から呉市へ嫁いだヒロイン・しず。結婚を申し込まれて初めて顔を見た夫(幼い時に会ってはいるが)、夫の両親、娘を連れて出戻ってきた夫の姉、疎開してきた親戚夫婦の大所帯。嫁いだその日からおさんどんを当たり前にこなす。隣組とのつきあい、日々窮乏していく日常物資。「戦争中の暮らしの記録」的な日々のあれこれが、ドジっ娘な新米主婦の日常としてのんびりと描かれる。

ただ読むほうは知っている。戦争末期、彼女のいる呉市は、軍港目的の激しい空襲に晒されること。実家の広島市に原爆が落とされること。ほんわかとユーモラスに描かれるその先のことを時限爆弾のように予感しながら読む。

いとおしい日常の営み、それが無残に破壊されてしまう悲惨さ、それを乗り越える暖かさ・明るさ。戦時下を舞台とした作品は数あれど、独特の表現力、人物たちの魅力、巧妙に張り巡らされた“仕掛け”が素晴らしく、何度も何度も読み返してしまう。

“仕掛け”は一読しただけではわからないくらい巧い。丁寧に解説したブログを読まなければなかなか気づけなかった。

初刊は上中下の三巻で、現在は二分冊で発行されている。自分が持っているのは三冊のほうで、この下巻の表紙絵も内容を知っていると衝撃を受ける。ヒロインがこの巻で永遠に失ってしまう右手が、カバーの見返しに隠れてしまっている。

暮しの手帖社「戦争中の暮しの記録」も欲しくなったなぁ…。
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