本に包囲された日々
部屋は本まみれ。家業の経理をこなしつつ、本を読む。
ロココの冠(名香智子)
ロココの冠 (フラワーコミックスアルファ ブルボン王朝シリーズ)ロココの冠 (フラワーコミックスアルファ ブルボン王朝シリーズ)
(2012/08/09)
名香 智子

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ルイ15世の宮廷を舞台としたシリーズ。「山猫天使」「黒百合の騎士」「ヴェルサイユのシンデレラ」に続く最終巻。シリーズ前半は架空の登場人物が中心にお話が進んでいったけれど、だんだん史実に沿ったお話に。最終巻はいよいよ寵姫ポンパドール夫人登場。

彼女は単なる愛妾という立場を超えたスケールの大きい女性で、王の夜のお相手を退いた後もかけがえの無い存在であり続けた。それがどれだけ凄いことだったのかは、歴代王侯の愛妾たちの栄枯盛衰の激しさを知ればすぐわかる。本巻では虚実おりまぜてかけ足で彼女の人生をつづっているが、じっくり評伝を読みたくなった。

ところで、このコミックの虚実のからませかたで面白いなーと思ったのが、王妃とポンパドール夫人との関係。史実では、性悪な他の愛妾たちの時代には軽んじられ苦しめられた王妃マリー・レクザンスカは、ポンパドール夫人が愛妾だった時代には王にも尊重され、平穏な日々を送ることができた。もちろんそれはポンパドール夫人がそうするように王にプレッシャーをかけていたからだ。

そのきっかけは愛妾と王妃のお目見えの儀式。王妃は通常は愛妾に対して形式的な言葉をかけるだけにすぎなかったのが、緊張して王妃の前にかしずく夫人に対して、共通の知り合いの話題から始まり、なんと十二回も言葉を交し合った(勘定した廷臣がいた。王妃と愛妾の接見の場というスリリングな見世物にほとんどの廷臣が部屋に押し寄せ、固唾をのんで見守る)。これは異例のことで、これで平民出身の夫人はヴェルサイユ宮廷に迎え入れられることが確定した。ポンパドール夫人はこの恩を決して忘れず、王妃もその優しさが後々まで報われることとなる。

…という事実があって、なぜ王妃が夫人に最初から好意を示したのかは謎なんだけど、このコミックではそれがなぜなのかを、うまいこと架空の人物のストーリーと一致させている。

とまぁ、歴史のこまけぇことが好きな自分にはたまらん内容で、もちろん作者のゴーヂャスで華麗な描写(衣装、宝石、家具調度…)を堪能するだけでも読む価値あり。
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