本に包囲された日々
部屋は本まみれ。家業の経理をこなしつつ、本を読む。
Lady Love(小野弥夢)
Lady Love (1) (講談社漫画文庫)Lady Love (1) (講談社漫画文庫)
(2000/03)
小野 弥夢

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1980年代に連載されたバレエ漫画。

かつて人気を博したバレエ&ダンス漫画を描いた作者たちが、現在も新作に挑んで、それなりの評価を受けている。「アラベスク」の山岸凉子は「舞姫 テレプシコーラ」、「SWAN」の有吉京子は「まいあ」、「ダンシング・ジェネレーション」の槙村さとるは「Do Da Dancin'」。

それらに比べ、絵の崩れっぷりから往年の読者をがっかりさせたらしい「Lady Love 愛するあなたへ」。しかし自分は、むしろ旧作「Lady Love」の評判が良いのが昔から不思議でならなかった。バレエ好きには有名な映画のダンスシーンが“そのまんま”主人公たちの踊るシーンに頻繁に使われていて、なんというかもう、“引用”多すぎ。

ヒロインがオペラ座のガラで踊る演目が「愛と喝采の日々」のアレとか、ソ連から亡命する男性ダンサーが踊るのが「愛と哀しみのボレロ」のアレとか、ブロードウェイのくだりは「オール・ザット・ジャズ」あたりのボブ・フォッシー系だな、とか。映画や舞台の名シーンを漫画作品に“引用”、というのはよくあることなんだけど、もうちょっと消化してほしいというか、ストーリーに自然に組み込んでほしいというか。あまりにもそのまんま登場するので、「引用元」を知った上で読むと、ツギハギパッチワークな印象をうける。

一番「あ~、やっちゃった」感があるのが冒頭。バレエ学校の生徒であるヒロインの少女は、自分が尊敬するプリマが主役につけなかったのを、プリマのライバルのせいだと勝手に恨み、そのライバルの晴れの舞台の日に衣装にこっそり細工。衣装のアクシデントに動揺したライバルは舞台で転倒、重傷を負ってしまう。踊れなくなったライバルは教師となり、ヒロインを指導することになる。自分に目をかけてくれる教師の人間性に触れて、激しい後悔と罪悪感にかられるヒロイン…。

これは「白鳥の死」という映画のストーリーそのまんま。他の引用に比べて、一般の知名度が低い古い映画であるのが、さらにやっちゃった感アップ。

「Lady Love」続編は1巻だけ読んだ。絵は確かに劣化がひどく、肝心のバレエのポーズも不正確だが、「バレリーナと出産」ということを正面から扱っていて、そっちのほうはちょびっとは評価できるかなぁ。

Lady Love 愛するあなたへ(1) (KCデラックス)Lady Love 愛するあなたへ(1) (KCデラックス)
(2006/09/13)
小野 弥夢

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コメント
この記事へのコメント
はじめまして、おじゃまします。先日、JコミでLadyLove(古い方)が公開されたので、読み始めてみたのですが、1巻の冒頭から、あまりにも幼い主人公の考え(実際幼いのは分かっているんですが)に「あれ?」なんとなく物語に入りきれない。その印象のまま、かのエピソード「衣装小細工作戦」が起こり唖然としました。「やっていいことと、悪いことがあるだろう~」。それからは、主人公がどんなに頑張っても、何をやっても共感できず・・・。足を骨折してプリマドンナを断念せざるを得なくなった先生の方に年齢が近くなったからでしょうか><。しかし、あれもこれも、引用だったのですね!知りませんでした驚きです。この漫画の評判が良かった、というのにも驚きました(^^;)。乱文失礼いたしました~。
2011/09/11 (日) 16:32:54 | URL | chi #-[ 編集]
Re:
こんにちは。コメントありがとうございます。
連載終了後、カラーイラスト集が出るくらい人気があったんです。新作のAmazonのレビューにも、劣化を惜しむ旧作ファンのレビューが多いし…。自分のような意見には今までめぐりあえなかったので、このエントリを書きました。引用を知らなくても、作品に違和感を覚えるというご感想を伺ってなんだか安心です(笑)。

冒頭であんなことをしでかしておいて、そういうことは単なる1エピソードとしてあっという間に解消、私は世界へはばたくプリマ♪なんて、本当にひっどいヒロインですよね。
ツギハギだから、主人公たちの人物設定も矛盾していて薄っぺらいのではないかと思っています。
2011/09/11 (日) 20:43:49 | URL | ヨモヤマ #-[ 編集]
初めまして。『ダンシングゼネレーション』『レディラブ』で検索かけてたどり着きました。この二つの作品、まったく同じ時期に別の雑誌で連載されてましたが、当時小学生だった自分が見てもストーリーが似ていて、一体どういうことだったのか??ということで、検索してみたのですが、誰も似てることは指摘してませんね。ヨモヤマさんがおっしゃる通り、『LadyLove』の方が若干評価が下がる作品かもしれません。好きですが(笑)。続編も2年前に読みました。正直あまりの絵の劣化に驚いて、自分のブログで酷評しちゃいました(笑)。
2013/04/27 (土) 15:50:35 | URL | piyo #-[ 編集]
Re: piyo様
初めまして。コメントありがとうございます。「ダンシング…」は実は未読です。

「レディラブ」続編は怖いものみたさ(?)で全巻うっかり読んでしまいました。正直、どうしてここまで劣化するのか不思議な気持ちにさせられました。テーマはけっこういいかも?と思えたところもあったのですが、あのヨレヨレの描画では読んでいても気持ちがついていけず、台無しですね。
2013/04/27 (土) 21:35:10 | URL | ヨモヤマ #-[ 編集]
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