本に包囲された日々
部屋は本まみれ。家業の経理をこなしつつ、本を読む。
過食日記
過食日記―ダイエットから摂食障害になった私過食日記―ダイエットから摂食障害になった私
(2008/07/15)
高橋 カオリ

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イラストレーターの著者が、「過食症」に陥り、自分の力でそれを克服してゆく体験を描いたコミック。

ストレス解消方法が「食べること」という著者は、いつの間にか「過食症」という病気になっていく。この「いつの間にか」が怖い。ひとりになると、ものすごい量のスナック菓子を猛烈な勢いで立て続けに食べまくる。この時点でもうビョーキに突入しているのだが、本人にはそれが病気だという自覚はない。食べて食べて食べまくり、食べまくる自分が嫌で更に食べ物を詰め込む。依存症の特徴の、“ストレス解消のために依存している方法がまたストレスになる”の悪循環。

そして悪化の定番、嘔吐。「あとで吐くから食べてもいいんだ」と限界まで胃に詰め込み、「食べたものを全部出さなくちゃ」と必死に吐く。あとで吐きやすくするための食べかたなど、嘔吐技術(?)にも修練。連日の過食・嘔吐生活に便秘になってしまう。そのため最終的に下剤が加わり、食べなくちゃ、吐かなくちゃ、しめくくりに下剤を飲んどかなくちゃ、のフルコース。やがて「毎晩決まった時間に規則正しく過食」というスケジュール化していく。

著者が過食に陥ったきっかけはダイエットだが、その方法は「10日間の絶食」。

「私、飽き性だから2~3ヶ月かけて少しずつ減量するなんてムリ!スパッと短期間でケリをつけちゃうほうが性にあってるからラクなんです」

生い立ちとか仕事のストレスとかさまざまな要因があると思うけど、生活習慣である体調管理にこういう考え方でとりくむ精神構造も、そうとう大きな要因に思えた。

やがて自分が過食症であるという病気の自覚を持った著者は、その時点で体調ボロボロ。ストレスの一因でもあった仕事もできなくなり、失職。そこからが意外な展開。著者はすっかり開きなおって、無職・引きこもり・ゲーマー生活をとことんエンジョイしてしまうのだ。なるべく支出を最小限に、映画をレンタルDVDで観まくり、中古で買ったRPGをやりこみまくる。そんなある夜、ゲームに疲れ果ててそのまま眠り込んでしまった著者は、翌朝目覚めてハッと気付く。

「私 昨日の夜 過食してない」

と、こうして映画鑑賞、ゲームに徹底的に“依存”することで過食生活から抜け出していく。いちおうめでたし、めでたし、という結末ですが…この著者の時代と違って今のゲームはオンラインで「ネトゲ廃人」という例もあるしなぁ。依存から抜け出すには別のものに依存するしかなく、どうせ依存するなら、なるたけ健全な、実生活を破壊しない依存対象を見つけるしかないんでしょうか。

わかりやすくエグくもない絵柄で、拒食症に比べて認知度の低い過食症の入門書として、とてもわかりやすかった。しかし、嘔吐の手順・コツ紹介ページなんてのがあって、「良い子はマネしてはいけません」なんて添え書きしたって、マネする人はマネするだろうし、危ない。

それにしても、トシをとってドカ喰いができなくなり、どちらかというとストレスは拒食に向かうタチの自分は、読んでいるだけで胃もたれしてきましたです…うう。

★★★
もう20年以上前もなるが、ある若い女性ライターが自分の摂食障害をネタに書いた文章に、最初に食べたものがちゃんと吐けたか確認するために、始めは色のはっきりした食べ物(トマトとか)を食べる、なんて書いていたのを思い出した。

食べたら胃の中で一緒になる、なんていうけど、実は食べた順番に胃の中で層になっているのが、吐くとわかる。

その女性ライターは、その文章を書いてしばらくして死んだ。前にもここで書いたけど、一人暮らしの部屋で、風邪をひいて衰弱していたところに、嘔吐したものが詰まって窒息死したんだそうだ。雑誌でみた彼女は細くて可愛い感じの人だった。自殺した漫画家の山田花子の雰囲気にも似ていた。細くて可愛くても油断してはいけません(何を?)。
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