本に包囲された日々
部屋は本まみれ。家業の経理をこなしつつ、本を読む。
オリガ・モリソヴナの反語法
オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)オリガ・モリソヴナの反語法 (集英社文庫)
(2005/10/20)
米原 万里

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1960年、チェコのプラハ・ソビエト学校で学んだ志摩。オリガ・モリソヴナという老女だが天才的な踊りの舞踊教師に魅了される。30数年後、翻訳者となった志摩はモスクワに赴き、オリガの半生を辿る。過酷なスターリン時代を伝説の踊り子はどう生き抜いたのか。

…という筆者の東欧体験が色濃く反映された小説。モスクワでの懐かしい旧友との再会などを交えながら、教師オリガの謎に満ちた足跡を追う、という謎解きの面白さ。とっつきにくいタイトルの小説だが一気に読み進められた。

それはさておき、小説の内容からは脇筋になるが、日本バレエ業界の恥ずかしい状況のエピソードが織り込まれており、それがモデルが誰だかわかる人には丸わかり。

●志摩がボリショイ劇場でソリストとして踊る日本人「イワイ・リコ」を観る。体型・プロポーションもさることながら、あきらかに背後のコールドバレエダンサーより技術が劣っているのが隠しようもない。見るに耐えないぶざまなポーズに志摩は客席で針のむしろに座らされているような恥ずかしさに襲われる。彼女(と母親)は、ボリショイ劇場にお金と日本の家電製品を雨あられとプレゼントし、ボリショイ・バレエ団のソリストの座を得ていた。

●志摩が帰国後所属していた「亜紀雅美バレエ団」。での愚劣な風習。他のバレエ団も似たり寄ったりだろうけど(Kバレエは違うと思いたい)。

●亜紀バレエ団で、「藻刈富代」が凡庸な才能とバレエには全く不向きな股関節の持ち主であるにも拘わらずプリンシパルの座を射止めたのは、藻刈の父親がバレエ団に都内一等地のリハーサルスタジオをプレゼントした見返りだというのは、すでに日本バレエ界の常識になっていた。団を維持するための必要悪として団員たちも諦めている。

「Dance Magazine」はタイコモチ記事しか載らないし、批評家は「美しい」「有名な」バレリーナだ、と巧妙に逃げた文章しか書かない(書けない)。「オリガ・モリソヴナの反語法」は、タミヨの「真実」を暴いた唯一の活字媒体ではなかろうか…。米原万里…惜しい人を亡くしました。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081001-00000032-oric-ent

>>日本を代表するバレエダンサーの一人として海外でも高い評価を受ける草刈

だーかーらー…orz
このニュースのコメント観ると、だまされている人が多くてびっくり。
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コメント
この記事へのコメント
日本のバレエ業界
この本知りませんでした。すごく興味をそそられるので、読みたいと思います。

バレエ団名といい、ダンサー名といい、わかりやすすぎで、笑ってしまいました。
私もバレエをやっていたので、愚劣な風習のそのバレエ団の話はよく聞きます。未だにそう変わらないんですよね・・。

引退宣言をした彼女ですが、彼女の本を読んで大人のバレエを始めたという人の多いこと・・
2008/10/03 (金) 13:35:42 | URL | ぽん #7hDQMCaI[ 編集]
女優になれるのかー!
未だに悪習は続いておりますか…。どこのバレエ団も経済的には厳しいので、辛いところでしょうね…。「大人バレエ」は、「大人に夢を与える商売」としてかなり需要が拡大しましたねぇ(^_^;)

わたしがタミヨさんを嫌だなぁと思うのは、技術的な欠陥もさることながら、踊りに感情表現とか情感が全く感じられないことなんです。表情も常に同じ、ぼーっとした感じ。これで引退後は女優って…。

実力不相応の「日本を代表するプリマ」と紹介され続け、真にバレエを理解している人たちの(おそらくは)「しょーがねぇなー」という無数の視線に常にさらされて、20年以上も主役で踊り続けられる神経は、パタリロもびっくりのナイロンザイル製でしょーか。それならあのつかみどころのない表現力にも納得がいきます。なんちて。
2008/10/03 (金) 16:53:58 | URL | ヨモヤマ #-[ 編集]
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