本に包囲された日々
部屋は本まみれ。家業の経理をこなしつつ、本を読む。
マリー・アントワネットの嘘(惣領 冬実、塚田 有那)
コミック「マリー・アントワネット」の副読本。コミック化にあたっての経緯、作者のこだわり、萩尾望都との対談など盛りだくさん。

本のタイトルはというと、第一章で、マリー・アントワネットにまつわる言い伝えの「嘘」を七つ取り上げている。

例の「パンがなければお菓子を食べればいいじゃないの」セリフは嘘だという、いまさらな項目はどーでもいい。

そんなことより、ルイ16世とアントワネットに、結婚後七年間子どもができなかった真の理由に驚き!なんと2002年にフランスで発行された評伝(本邦未訳)で、歴史に埋もれていた手紙の存在により、赤裸々な事実があきらかになっていた。




従来説では

「ルイ16世は重度の包茎による不能で、医師から簡単な手術を勧められていたが、優柔不断な性格によりなかなか決断できず、業を煮やしたオーストリア皇帝ヨーゼフ2世(アントワネットの実兄)の説得により、手術を決断、ようやく正常な夫婦生活を営むことができた」

ところが新たに発見された、ヨーゼフ2世が弟に書いた手紙には、妹夫婦の性生活の様子(もちろんヨーゼフ2世は妹夫婦本人たちから直接聞いた)が具体的に書かれ、読めば「そりゃ子どもができないはずだ…」という内容。250年後にこんなことを世界中にバラされるなんて…。

ともあれ、コミックの副読本として両方読めばよりいっそう面白くなる内容だった。
マリー・アントワネット(惣領 冬実)
「史上初!ヴェルサイユ宮殿監修」のコピーに納得の一冊。カバーの美男美女はアントワネットとフェルゼン?かと思いきやまさかのルイ16世。短躯・肥満・愚鈍だったというかつての定説とは違い、長身の美男子に描かれている。美男ぶりは多少の創作らしいが、かなりの長身(192cm)だったのは史実。頭脳も明晰で新思想にも詳しい教養あふれる知的な男性であった…と近年の研究は進んでいるそうな…。

ヒロイン、アントワネットもたまらなく魅力的な少女に描かれている。


ツヴァイクの流れを汲む定説(ベルばらも当然これに含まれる)を、丹念な史実研究で覆していく最近の学説を反映させたコミック。たった一冊で終わるのが非常に残念。




景色、建物、家具調度、衣装、装身具など芸術的なまでに描かれているのがまたうっとり…。自分はドレスの正確な描きこみに特に感動した。この時代のドレスは、正面から見ると左右に大きく張り出しているが、横から見ると前後の張りは左右ほどではない。360度ぶわーっと広がるシルエットはもっと時代が下がってから。1989年、京都服飾文化研究財団が主催した「華麗な革命」展覧会で当時の実物のドレスを見て以来、そういう微妙なシルエット描写が不正確なコミックが多いのが気になっていたが、この本は完璧。

「チェーザレ」を再開するという作者が、このコミックの続きを描くのはもう無理なんだろうけど…本当に残念。

ヴェルサイユ宮殿監修「マリー・アントワネット展」が開催される影響もあってか、アントワネット関連の書籍がいろいろ出版されていて、最近立て続けに読んでる。
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