本に包囲された日々
部屋は本まみれ。家業の経理をこなしつつ、本を読む。
2月29日
社員の親戚が亡くなられたので、香典準備。

香典5,000円+お見舞い3,000円。

…は?お見舞い?
初めて知ったので耳を疑ったが、田舎では、病死した人の生前にお見舞いに行っていなかった場合、香典に「お見舞い」を添えて出す…そうだ。死んだ人にお見舞いを包むって不思議。
ローズ・ベルタン マリー・アントワネットのモード大臣
ローズ・ベルタン ─ マリー・アントワネットのモード大臣ローズ・ベルタン ─ マリー・アントワネットのモード大臣
(2012/01/24)
ミシェル サポリ

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マリー・アントワネットの伝記には必ず登場する人物なれど、歴史的にはあくまで脇役…かと思ったら、こんな立派な評伝が出るとは。

豊かなファッションセンス、アイディアを次々と繰り出し(ま、現代の目でみるとなんじゃこりゃの珍ゴージャスともいえるけど…)、「第三身分」の貧しい出自でありながら、フランス王妃御用達のデザイナーとなり、国内外の王侯貴族からも注文は殺到、比類なき隆盛を極めたローズ・ベルタン。デザイナーズ・ブランド、オートクチュールの元祖といえる職業婦人。当時の王侯貴族たちの残した手紙に彼女への言及箇所が非常に多いそうで、その豊富な資料のおかげか、偏らずバランスのとれた評伝になっていると思う。あわせて当時のフランスの服飾業界の解説もしっかりとされており、いろいろ知ることができて面白かった。

タンプル塔に監禁されているアントワネットに、スカーフなどを“納品”したエピソードも初めて知った。それより以前、ベルタンはアントワネット関連の請求書類をすべて破棄していた。王妃を弾劾する裁判の証拠として押収される前に。

王妃のロココの女王として王宮でまとった豪華な衣装も、ギロチンへ向かう最期の衣装も、ベルタンの手によるものだった。

独身を貫き、晩年はもう時代遅れのデザイナーとして、ひっそりと店を畳む。帝政時代が過ぎ、ルイ十八世の時代、アングレーム公爵夫人、つまりアントワネットの娘マリー・テレーズがベルタン女史の消息を尋ねたとき、彼女はその六ヶ月前にこの世を去っていた。

★★★
翻訳本・ハードカバーのため値は少々張るが、人物よし、背景文化解説よし、文章(読みやすさ)よし、で新刊購入で後悔なし。

★★★
図版で久しぶりに「帆船をのっけた髪型」を見た。これを見ると、青池保子「イブの息子たち」に登場する航空母艦を髪にのっけたアントワネットが「ゆけ!第七艦隊!」といってる場面を思い出すなぁ。さらには宇宙戦艦ヤマトものっけていたっけ。
コシノ洋装店ものがたり
コシノ洋装店ものがたり (講談社プラスアルファ文庫)コシノ洋装店ものがたり (講談社プラスアルファ文庫)
(2011/09/20)
小篠 綾子

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NHK朝ドラ「カーネーション」結局毎朝楽しみに観ている。

物語のモデルになったコシノ三姉妹のお母さんの自伝も読む。ドラマはかなり事実通りに作られているんだなぁ。パワフルなお母ちゃん。

「カーネーション」の魅力について、町山智弘氏が語る↓

http://podcast.tbsradio.jp/kirakira/files/20120210_machiyama_kora.mp3

ブライアン・デ・パルマ監督の演出との共通点を挙げたりして、こういう「点」と「点」をつないで、作品への新しい視点を啓いてくれるところにシビレる。
英国メイド マーガレットの回想
英国メイド マーガレットの回想英国メイド マーガレットの回想
(2011/12/22)
マーガレット・パウエル

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訳者は村上リコ、表紙絵は森薫。以前「英国メイドの日常」を読んだあと、引用されている日記や自伝の全訳が無性に読みたくなったが、その期待に応えてもらった感がある本書。

最下層のキッチンメイド→コック→結婚→再びコック→引退後の1968年に本書が執筆され、その評判から作家となった女性の自伝。最下層メイドの仕事の重労働ぶりがいろいろと悲惨なんだけど、暗くはならず威勢のいいカラッとした筆致で綴られている。しかしこの時代、この階層に生まれて少々虚弱だったりした日にゃ、もうとっとと死ぬしかないな…。

マーガレットはへこたれない。劣悪な職場へ見切りをつけ、なんとか“紹介状”を得て、よりよい職場に変わっていこうとする(この時代、前雇い主の紹介状がないと次の職場は最底辺からリセットせざるをえないので、何としても紹介状をもらって辞職しなくてはいけなかった)。コックとしてまだ経験が浅くても、年齢もサバを読み、ハッタリで自信あるようにふるまい、ウラで「ビートン夫人の料理書」を教科書に、独学でレシピをものにしてく。

使用人を「使用人としても尊重しない」酷い雇い主や、「使用人として大事にしてくれる」優しい雇い主やらいろいろいるけれども、「雇い主たちの階上」と「使用人たちの階下」との間には越えられない壁がある現実をシビアに見つめる観察力も鋭い。それがあるから、苦労しました大変でしたーという単なる回想苦労話と一線を画している。

本書の後半、結婚を機に家庭に入り、間をおいて再びコックとして勤め始めたら、すっかり時代は変わっていた。使用人の立場は強くなり、雇い主階級は没落。時代にとりのこされた哀れな人たちへの観察描写も読み応えある。

時代背景を解説する丁寧な日本版註がそれぞれの該当ページ中に掲載されている親切なレイアウト。同じページに註があるのは編集的に大変だろうけど、別ページにまとめられていると読みに行くのが面倒くさいから助かる。
十三人の刺客(2010年)
十三人の刺客 通常版 [DVD]十三人の刺客 通常版 [DVD]
(2011/05/27)
役所広司、山田孝之 他

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ちょっとびっくりするぐらい、マトモな正統派の娯楽時代劇だった。「現代っぽいアレンジ」に逃げることなく、徹底して正統派。既婚女性は眉無し・お歯黒、とか細かいところも行き届いていて、エンディングロールに名を連ねている協力体勢を見ればその力の入れようが想像できる。

前半の稲垣吾郎の冷静な基地外悪役ぶり&グロ描写(うぎゃー!)ですっかりダウナーにさせられた後、後半50分の大活劇。剣士一人一人の描き方が足りない!との評もあるようだが、それやってたらダレますって。さっさと「斬って斬って斬りまくれ!」へ突入してもらわないと、観ているほうの気力体力が尽きてしまうだろう。

「ああ、あのときのアレがココに!」という伏線生かし描写が大好きなので、あのグロシーンのアレがココに!登場してくれて大変嬉しかった。

松方弘樹の殺陣のハマりっぷりを観るに、こういう時代劇ができる役者の蓄積も急速に失われていっているのだなぁと思ったり。

★★★
映画が終わってはじめて、松本幸四郎と役所広司が自分の中でゴチャゴチャになっていたことに気がついた。主役の役所広司をなぜか松本幸四郎だとずっと思い込んでいた。記憶障害が始まったか。
洋裁の時代―日本人の衣服革命
洋裁の時代―日本人の衣服革命 (百の知恵双書)洋裁の時代―日本人の衣服革命 (百の知恵双書)
(2004/03)
小泉 和子

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NHK朝の連ドラ「カーネーション」うっかり観てしまった。連ドラ観るのは「ゲゲゲの女房」で大変だったので避けていたのだが、ああ、やっぱり面白い。

戦後の洋装の興隆…つながりで、何年も購入を保留にしていたこの本を買ってしまった。

明治の洋裁黎明期から、戦後急速に普及し「女の自立」を支えた洋裁。既製服など無い(昭和50年ごろまではまだ手作り服も多かった)。洋服は自分で縫うか、仕立ててもらうかしかなかった。戦後、洋裁を身につけミシンを動かすことで、どれほどの女たちが身を立てることができたか。みようみまねで洋服というものを自分のものにしていったか。ファッションとかデザインとかではなく、「洋裁という技術」がいかに女性が生きていく上で役に立ったかということに焦点を当てた書。

「洋裁という技術」とともに、高価なミシンがいかに憧れのものであったか、とか。

かつてミシン一台で生活を支えていた女性が、「これで子供たちを育てあげ、生活が助かった大切な道具なので、私が死んだらミシンをいっしょに埋めてくれ」とお寺にたのみ、さすがにミシンは無理だと笑われたが、「それではせめてカマ(ミシンの心臓部)だけでも」といっていたそうである。

★★★
…という話を義母にしたら、「そういえば子供のころ、近所の戦争未亡人が家でミシンの仕事をしていた」という思い出話になった。

★★★
中学生の頃、学校には足踏みミシンしかなかったが、自分は不器用でなぜか逆走するばかりだったことを思い出したり(だから学校では縫わず、家の電動ミシンでまとめて縫っていた)。

★★★
家業は工業用ミシンの部品も加工している。
「ヨウドウダイウデ」とか「ソレノイドウデ」とか面妖な名称の伝票を日々処理。
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