本に包囲された日々
部屋は本まみれ。家業の経理をこなしつつ、本を読む。
頭の悪い日本語(小谷野 敦)
頭の悪い日本語 (新潮新書)頭の悪い日本語 (新潮新書)
(2014/04/17)
小谷野 敦

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わからない言葉、間違って覚えていた言葉がけっこうあった。著者の豊富な知識がタメになりかつ面白い。いっぺんに読むのがもったいないので、寝る前に少しずつ何日もかけて読んだ。

著者のブログに掲載されなかったあとがきと正誤表がある。
衣もろもろ(群ようこ)
衣もろもろ衣もろもろ
(2012/10/26)
群 ようこ

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お洋服エッセイ。「昭和の洋服常識」もいろいろ書かれていて、自分も覚えていなかったりするようなことがたくさんあった。

(大事なお出かけ着の)洋服を雨に濡らすまいと、レインコートは必須アイテムだった、なんて現代ではすっかり忘れられているような…。このことを姑に話すと、「そうだよ、みんなレインコートを着ていたよ」と言われた。そうだったんだー。カジュアル、フォーマルの世代間格差とかも面白い。

それと、最近の服はやたらと脇汗対策をうたっていて、「そんなに汗をかくぐらいの暑さなら、脇だけじゃなくて全身汗だらだらだけどなぁ」と不思議に思っていたが、「脇の永久脱毛」普及のせいらしい。永久脱毛すると真冬でも暖房で脇から汗が大量に出る人がいるそうな。知らんかったー。

著者はひとまわり年上で、昭和過去話だけではなく、これから自分が辿るであろう老化やその対策が非常に参考になる。年齢や体型の変化により似合う服・着心地のいい服も変化し続ける。そのときどきで失敗しながら服を着続けていかなきゃいけないんだなぁ、と。

★★★
高価な服でもいい素材で長持ちするかというとそんなこともなく、結局は着続けてみないとわからない。体型と流行の変化で着られなくなってしまう服も次々と。

タンスの中を整理。昔に気に入って着倒していた服を久しぶりに着てみて、そのダメさ加減にギョッとする。こ、こんなものを後生大事にしまっていたのか…。
ボヌール・デ・ダム百貨店(ゾラ)
ボヌール・デ・ダム百貨店ボヌール・デ・ダム百貨店
(2002/12)
エミール ゾラ

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デパートを発明した夫婦」を再読。続いてこの長編小説を読んだ。この版じゃなくて、「ゾラ・セレクション」のほうを入手したんだけど、こっちのほうがカバー絵が美しいので。

豪華絢爛な百貨店を舞台に繰り広げられる人間模様。両親を亡くし、弟二人を抱えて田舎からやってきたヒロイン・ドゥニーズ。頼ってきた叔父一家は、古いタイプの洋品店を営んでいて、巨大百貨店「ボヌール・デ・ダム」のために淘汰されようとしてる。ドゥニーズはボヌール・デ・ダム百貨店へ売り子として就職するが、厳しい仕事と人間関係に翻弄され、さらには無実の罪をきせられ解雇されてしまう。周囲の小売店を次々と破滅させどんどん発展してゆくボヌール・デ・ダム百貨店。そのパワフルなオーナー、ムーレはドゥニーズに徐々に心惹かれるようになっていった…。

という前半。

後半は、さらにゴージャスに拡大してゆく百貨店と、その魅力にからみとられていくさまざまな階級の主婦や貴婦人たちが次から次へと登場。ドゥニーズはムーレの計らいでボヌール・デ・ダム百貨店へ再び雇用され、今度は持ち前の気質を生かして優秀な売り子として出世していく。ドゥニーズはムーレへ惹かれつつも、彼のひけらかす栄華や打算的な誘惑へは決して屈することはない。女たちの買い物への欲望を思うがままに操り、莫大な利益を上げ、あまたの女たちと浮名を流すムーレであるが、ただ一人、ドゥニーズだけは屈服させることができない。

権力闘争、嫉妬、競争、復讐、哀れに滅んでゆく周辺小売店、そしてヒロインのシンデレラ・ストーリー。かつて田舎者の小娘として嘲笑されていたドゥニーズは、同僚・上司・後輩たちからの敬意を得て、ついに売り場主任へと上りつめる。金では得られない愛を自覚したムーレはついにドゥニーズに…。

とまぁ熱情のままにハッピーエンド。あー面白かった。純真で誠実なヒロインの(自覚無しの)じらしっぷりがなかなか恋愛小説としても盛り上がってます。

欲望喚起装置としての百貨店の歴史「デパートを発明した夫婦」を読んどけば、この小説の面白さが何倍にもなるので副読本として必須。
面白いほど詰め込める勉強法(小谷野敦)
面白いほど詰め込める勉強法 究極の文系脳をつくる (幻冬舎新書)面白いほど詰め込める勉強法 究極の文系脳をつくる (幻冬舎新書)
(2013/09/28)
小谷野 敦

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タイトルは内容とはあまりあっていない。著者の勉強の自叙伝と、知識を得るためのエッセイというか…。著者のファンなので、豊富な読書量に裏打ちされた縦横無尽な論旨がいつもどおり面白い。

著者は大学院へ進んでから「英語の勉強が革命的に変わった」。ヘンリー・ジェイムズ作品を訳読する授業で、「まず大意を掴む、という考え方はとらず、単語一つ一つをゆるがせにせず、文法に則って隅から隅まで読んでいく、というやり方」に開眼した。「だいたい分かればいい」で学んできた著者には革命的衝撃だったとのこと。

自分も大学時代、同じような開眼をしたことを思い出した。自分の場合は日本古典文学で、ゼミの恩師の教えがまさに、一語一句ゆるがせにせず、徹底的に読み込み、分析するという教えだった。学問の手法としては当たり前といえば当たり前なのだろうが…。いままで自分がいかにいい加減なテキスト流し読みをしてきたか、やっと気づかされた。授業もとても面白く充実していて、卒論で、その恩師に「優」をもらえたのはとても嬉しかった。
時の娘(ジョセフィン・テイ)
時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)時の娘 (ハヤカワ・ミステリ文庫 51-1)
(1977/06/30)
ジョセフィン・テイ

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リチャード三世の遺骨が発見されたというニュースを聞いて、読み返さねば!と張り切ったけど、地層がだいぶ下のところにあるらしく、この本がなかなか我が家では発掘できておりません…。

小泉喜美子の翻訳というのも価値高い一冊。版元でもさっそく重版がかかったそうで、めでたい。

★★★
今朝NHK-BSニュースの「フランス20」で、「アンリ四世の頭部がDNA鑑定で本人と確定!」とのこと。こっちは暗殺後、王侯の墓所にちゃんと埋葬されていたのが、フランス革命時に片っ端から暴かれ、さらし者にされたあげくバラバラにされたそうな。ひでー。

埋葬時は防腐処理が施され、生前の容貌が保たれていたそうだが、現在はほとんど干からびた状態。もはや本人と確定できない状態で、個人が所有。布にくるまれて箱にしまわれていた、と。

干物状態のそれからかろうじてDNAが採取され、本人と確定。照合に使われたDNAには、ルイ16世が処刑されたときの血を吸った布も使われたとか。

革命で銃殺されたロシア皇帝一家のDNA鑑定の時に、日本からも大津事件で血をぬぐった布の提供が申し出られたそうだけど、これは汚染と血が少量だったために使えなかったと聞いているが、ルイ16世のはよっぽど保存が良かったんだろうか…。

それが使われたことで、王家の血統にまつわる長年の風説も解決したそうだ。ルイ14世は父王ルイ13世の実子ではなく、アンヌ王妃の間男疑惑があったのだが、今回の検査で、アンリ四世とルイ16世のDNAに6世代を経た血統であるという証明もできたと。

歴史好きには興味深いニュースが続いて、ワクワク。
生きる悪知恵(西原理恵子)
生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント (文春新書 868)生きる悪知恵 正しくないけど役に立つ60のヒント (文春新書 868)
(2012/07/20)
西原 理恵子

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人生相談本って、回答者の傾向をある程度知っていて、こういう相談にこの人はどう答えるのか?を予想しながら読むのが楽しい。

「小6の娘が好きな男の子の家に入り浸りで心配です(40歳・主婦)」の相談。サイバラはこういうのに寛容な回答をするのではないかとなんとなく予想していたら大ハズレ。「これはダメです。ヤリマン階段上ってます。」「大人のいない家に上がらせるべからず。」だった。

ほどよく意外性があり、ちゃんと相談の答えにもなっているので、ベストセラーになるのもむべなるかな。

★★★
発言小町ネタ。
解せないな

誰もわからなくてマジレスばかり…。これは朝ドラ「梅ちゃん先生」今週の展開ネタ。

★★★
涼しくなったせいか読書意欲が湧き上がってきたのはいいが、チェックした本が軒並み3,000~4,000円クラス。失敗が許されない値段だ…。
永遠のジャック&ベティ(清水義範)
永遠のジャック&ベティ (講談社文庫)永遠のジャック&ベティ (講談社文庫)
(1991/09)
清水 義範

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直訳調といえば思い出す、この表題作。英語の教科書の登場人物だったジャックとベティが50歳になって再会。二人はついつい昔のクセで直訳調の会話になってしまう…。

★★★
中学生時代、習った教科書は「New Horizon」。ジャック&ベティではなく、日本人のKenとEmi、アメリカ人のMike Smith一家が登場人物だった。昔の職場で、お子さんが中学生の人に「教科書はNew Horizon? じゃ、まだマイクとか出てくる?」と訊いたことがある。自分の時代は日本人と白人だけ(Mikeの友人たちも全員白人)だったのが、近年は友人たちは黒人やエスニックとなっているそうだ。そりゃそうだわなー。

http://www.casphy.com/bbs/test/read.cgi/newhorizon/1255247123/l50
↑そんな展開になっとるのか。あらまぁ最近の若い人は。
紫式部日記(ビギナーズ・クラシックス)
紫式部日記  ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス 日本の古典)紫式部日記 ビギナーズ・クラシックス 日本の古典 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス 日本の古典)
(2009/04/25)
紫式部

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清少納言をボロカスにけなした箇所が特に有名。おかげで、ちょっとそれってどうなのと、あまりいい印象がなかった紫式部。この本の平易な解説と本文でその悪印象が払拭された。

当時の慣習として人前に顔を出すことがほとんどない生活をしていた主婦(その後未亡人)・紫式部。「源氏物語」が評判となり、女房として採用され宮中に出仕することとなる。しかし職場の先輩女房たちから冷たく無視され、わずか数日で逃げ出してまた家に引きこもってしまう。

そんな彼女がふたたび出仕し、徐々に同僚たちや女主人(中宮・彰子)の信頼を得、女房という職務がいかにあるべきかを説くまでになっていく。“職業婦人”として成長していく紫式部の姿が生き生きと解説されていて、なかなか新鮮な構成。

清少納言を徹底的にケナしたのも、その背景を知っていくと意図が理解できる。紫式部が出仕したとき、すでに清少納言とその女主人(中宮・定子)は政治的に敗北していて、定子はこの世を去り、清少納言も宮中から消え去っていた。しかし「枕草子」の描写によって、定子サロンはいつまでもその存在を人々に強烈に印象付け続けている。機智溢れる女房たちが仕える明るく華やかだった定子サロン。対して現在、未熟な女房たちしかいない地味でつまらない彰子サロン。

彰子サロンをもっともっとみんなで盛り立てなければ!そう奮起する紫式部にとって、清少納言と「枕草子」は踏み越えて行かなければならない存在。そういう意図もあってあのボロカス批評となる…と。

角川文庫ビギナーズ・クラシックスの一冊。この「紫式部日記」がとても面白かったので、「枕草子」も手にとってみたがこっちの構成は平凡だった(橋本治の桃尻語訳版を読んだほうがいい)。編者によって面白さにバラつきがあるシリーズみたいだ。次は「大鏡」を読んでみる。
この世でいちばん大事な「カネ」の話(西原理恵子)
この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)この世でいちばん大事な「カネ」の話 (よりみちパン!セ)
(2008/12/11)
西原 理恵子

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これも「よりみちパン!セ」の一冊。「知のジュエリー12ヵ月」と一緒に借りた。

西原理恵子・自身の半生を語る、といった感じ。極貧の生い立ちなど、タイトル通りカネがないことがいかに悲惨なことか、これでもかこれでもかと。カネも大事だが、加えて「希望を持ち、働き続けることが生きること」と説く。

叶恭子の本のすぐあとに読んだので、文体の落差が激しかった…(比べるもんではないが)。サイバラの文章はあまり好みではない。「○○○ってこういうことなんだよ、わかる?」という語り口にちょっと辟易。

これもリアル十代の感想を知りたいところだが、「貧困の連鎖」真っ只中にいるような子供は、そもそも本なんか読めない・読まないんじゃないかと思ったり。

★★★
無駄に良い天気。10月並みの暖かさ。
知のジュエリー12ヵ月(叶恭子)
叶恭子の知のジュエリー12ヵ月 (よりみちパン!セ)叶恭子の知のジュエリー12ヵ月 (よりみちパン!セ)
(2008/08/23)
叶 恭子

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「よりみちパン!セ」という中学生向け叢書がある。とうてい中学生向けとは思えない意外な書き手・テーマが揃っており、ラインナップをみるだけで楽しい。数冊しか読んでいないが、著者たちの持ち味を生かしつつ、ちゃんとティーン向け啓蒙書となっていて、これの企画・編集の人はいい仕事しているなぁ…と感心することしきり(ただし、この著者の起用はどうよ、と物議をかもしているのもある)。

で、この叶恭子「知のジュエリー12ヵ月」は恭子姐さんの人生哲学お言葉集&中高生女子のお悩み相談で構成された内容。帯の「教えて恭子おねえさま」だの、内容紹介の「全人類の「姉」叶恭子が、初めて、悩み多き思春期の女の子たちに向けて、彼女自身の哲学を真摯に語った画期的な一冊。」だので、読みたい気持ちがムクムク湧いてきていたが、決定打となったのは有名ブログのこのエントリ↓。

がんばれ!勝間和代さん(『結局、女はキレイが勝ち。』を読んで)
「俺はこの手の女子向けの本としては叶恭子さんの『知のジュエリー12ヶ月』が究極にして至高だと思っています。(この本は思春期の女の子向けに書かれたものですが、老若男女すべての人にオススメです)」

…で、借りて読んだ。図書館の児童書コーナーにあった。

期待通り、姐さんのあのルックス&言動とも違和感無く、説得力もある御言葉の数々。

いろいろなことを言われているのは知っていますけれども、それによってわたくしの価値観を生き方を変えるつもりはありません。たとえそのことによって誰からも好かれないとしても、かまわないのです。

独特の言い回しも読んでて心地よい。「学校の制服がダサくて学校へ行くのがイヤ」とか「トイレに連れ立ってゆく友達がいない」とかいうお悩みにも真摯に回答。確かに、同性からの同調圧力に悩む女子を勇気付けるであろう回答。また、勘違いや無知が自分の身を危険にさらすことへの警告もあり、それは昔から色んな人が色んな言葉で語ってきたことではあるが、そのたとえが上手い。

…と大人の自分は思ったが、リアル思春期女子はどういう感想を持つのかな。

★★★
飼い犬マロを迎えて一周年。裏山を駆け回り鍛えまくり、筋骨たくましい女子犬となりました…。
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