本に包囲された日々
部屋は本まみれ。家業の経理をこなしつつ、本を読む。
毒草を食べてみた(植松 黎)
最初古本で購入して、読み終わったら処分して、また読みたくなって古本で購入してまた処分して、また読みたくなったので書店で購入。何やってんだか。2000年刊行以来、何版も重ねているロングセラー。

著者がいろんな毒草に挑んだかのようなタイトルだが、そういうのはほんのちょっと。「毒草を食べてしまった人たち」がどうなったかの症例集。目次を見ると、身近にフツーにある雑草や鑑賞用植物がいっぱい。そういう馴染み深い植物でこんなに悲惨な目にあってしまうのか…恐ろしいけど面白い。

身近な危険は意識しないとなかなか覚えられない。今年もニラとスイセンを間違えた中毒事故が何件も報道されている。「自然教室」での事故例はこの本にもいくつかあって、いやー、つくづく無知な「自然とのふれあい」は怖いデスネー。

船山信次氏の一連の毒関連書籍も読み返したくなってきた。
世界史を変えた薬(佐藤健太郎)
こういう本をやたらと読んでいるような気がする。ビタミンC、キニーネ、モルヒネ、麻酔薬、消毒薬、サルバルサン、サルファ剤、ペニシリン、アスピリン、エイズ治療薬。多くの人命を左右し、文字通り歴史を変えた薬剤のお話。

こまかいところではツッコミどころがあるようだが(あちこちのレビューを読むと歴史的・科学的な精度に問題があるようだ)、門外漢には気軽に読めて、満足の行く読後感。




★★★
病院の待ち時間用に携えていったが、眼底検査の点眼後に読むのは無理だった…。
医学探偵の歴史事件簿 ファイル2 (小長谷 正明)
 
医学探偵の歴史事件簿の第二弾が出ていたとは知らなくて、あわてて購入。歴史を動かすこととなった病気はなんだったのか、あの人物の最期はどうだったのか…前作よりさらに面白くなった感じ。

アイザック・アシモフが、心臓手術の際の輸血でHIVに感染し、死期が早まったことをこの本で初めて知った。



いろいろな医学に関わる歴史エピソードが満載なのでどこから読んでもOK。







ところで、大仏の建立にあたってどれだけ有害な物質が撒き散らされたのか知っていると、このツイートがさらにグッとくる。

まんが医学の歴史(茨木 保)
まんが医学の歴史まんが医学の歴史
(2008/02/01)
茨木 保

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子供向け学習まんがみたいなタイトルだが、大人向け。まんがといえど、びっしり文字があって、かーなーりー読み応えがある。内容も濃いので読むのに数日要した。作者は現役医師である「がんばれ!猫山先生」のひと。

現代医学が、ここまでくるのにどれほどの時間と試行錯誤と多大な犠牲を払ったのか。医学の画期的発見とそれにかかわった人々を中心に紹介。その人たちがどういう最期をとげたのか、その死に様まで描かれているのがけっこう新鮮だった。

特に悲惨なのがゼンメルワイス。
医者や医学生が死体解剖をした不潔な手で、そのままお産を扱う。「病原微生物」の概念がない時代にはそんな恐ろしいことが普通に行われていた。原因はわからないながらもゼンメルワイスが「手を洗ってからお産を診る」ように指導すると、産婦の敗血症による死亡率は劇的に下がった。これほど明確な数字があっても彼の理論は生前なかなか認められず、不遇のまま狂死。他の医師たちにとってみれば、彼の理論を認めることは「妊婦を殺していたのは自分たち医師の“手”である」ということを認めなければならず、それは受け入れ難いことであったからだ。

どの項目もずっしり重い。
「歴史に学ぶ」のは本当に面白い。

★★★
「北里柴三郎」の偉大さも初めて知った。血清療法の素晴らしさも。その歴史を知ると、子供の混合ワクチンを拒否する親は、医療ネグレクトだよなぁ…とあらためて思う(最近、「ウチのコには“自然な”免疫がつけばいいと思っているので、予防接種一度も受けさせてませーん」という恐ろしいブログを知った)。

★★★
犬の噛み傷は(抗菌剤服用のおかげか)化膿することなく、一週間経過。破傷風の潜伏期間は3日~3週間ぐらいだそうだから、これを経過すればおしまい。過去に三種混合を確かに受けていればそういう心配も無いわけだが。

破傷風の話をしよう  y_tambeさんによる解説
医学探偵の歴史事件簿(小長谷 正明)
医学探偵の歴史事件簿 (岩波新書)医学探偵の歴史事件簿 (岩波新書)
(2014/02/21)
小長谷 正明

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歴史上著名人物を中心とした病気・医療の歴史。この手の内容は大好物なので、ちらほら知識は得ていたが、さらによく知ることができた。ほどよくミーハーで読みやすい。

独裁者たちの病や、「神の声」を聴いたジャンヌ・ダルクは側頭葉テンカンだったのではという説など、病気によって歴史が大きく変わる怖さ。さまざまな犠牲の上に発達してきた医学の大切さ。

ところで、1949年生まれの著者が「いまいち」を多用するのがちと不思議。この言葉、現代では当たり前のように使われるようになってしまって気になるんだよなー。TVでも、「いまひとつ」ってしゃべっているのに字幕で「いまいち」で書かれたりすることもある。

★★★
4月の新年度から自治会の副会長!会計担当!また帳簿が増えるのか~!
栄養学を拓いた巨人たち
栄養学を拓いた巨人たち (ブルーバックス)栄養学を拓いた巨人たち (ブルーバックス)
(2013/04/19)
杉 晴夫

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かなりロマン度数高めの内容。三大栄養素、ビタミン類、クエン酸回路の発見など、正体不明の難病の原因をつきとめることで発見されてゆく過程はかなりドラマチック。「なにか悪いもの」を摂取したから病気になったのではなく、「足りなかったから」病気になった、ということを人類が発見するまでにはあまりにも長い年月がかかった…。脚気の原因をあくまで病原菌にあると拘った森鴎外の罪は重い。

戦後日本のサムス大佐の功績もぜんぜん知らなかったので面白かった。

別の本で読んだけど、現代でいわれる「おばあちゃんの味」的な食品は、「おばあちゃん」が若嫁だった戦後にGHQ指導で普及したものも多いらしい。道の駅とかで売っている「おばあちゃんの手作り味噌」とか。

ここ数年、食関連の読書多数。料理や栄養学の歴史を知ることで、巷で流行ったりする色々な食養生のヘンなところがわかったりする。
名作マンガで精神医学(林公一)
名作マンガで精神医学名作マンガで精神医学
(2012/05/25)
林 公一

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快刀乱麻な「精神科Q&A」で有名なDr林のこころと脳の相談室のDr林の著作。

著名なマンガや体験談を例にとって、代表的な精神疾患を解説している本。読みやすく、門外漢のみならずおそらく専門家まで幅広い読者層向けになっている感じ。

「わが家の母はビョーキです」は統合失調症、
「ツレがウツになりまして。」はうつ病、
「日々コウジ中」は高次機能障害、
「ブラックジャックによろしく」は反社会性パーソナリティ障害。

そのほか、版権の問題だろうが引用図版無しでほかにもいくつかのマンガ作品が参考にあげられている。山岸凉子の「ハーピー」なんて、そういえば主人公はモロ統合失調症だったなぁ。

うつ病の料理人に、間違った素人療法を強行する「美味しんぼ」の主人公(もちろんストーリー的に主人公が正しいと読者は読んでしまう)へダメ出しをするDr林。「反面教師として非常に参考になる」とか、レトリックがうまいわー林先生。

最初の統合失調症についての章を読むだけで、こないだの藤圭子の事件の悲劇性がよくわかる。読後は、患者とその家族への理解がかなり向上するのは間違いない。

★★★
確率的にがん患者と同じくらい周囲にいるはずの統合失調症。それががん患者ほど周囲が気がつかないという状況(つまり病が隠蔽されている、せざるを得ない)がこの病気の困難さの一つである、とのこと。

読後、そういえば思い当たる人を一人思い出した。以前の勤め先にいた若い男性で、自分と入れ替わるようにすぐ辞めていったが、後日の噂でかなり被害妄想がひどくなっていたと聞いた。その後どうなったやら。
偽善の医療(里見清一)
偽善の医療 (新潮新書)偽善の医療 (新潮新書)
(2009/03)
里見 清一

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お医者さんによるホンネ集。目次を見るだけでも読みたい気がマンマンに湧いてきたが、期待にたがわずイッキ読み。

患者さま撲滅運動  ← 「患者様」呼称は確かにキモチワルイ。
消えてなくなれセカンドオピニオン ← やってもあんまり意味がないのね…
「有力者の紹介」は有難迷惑  ← これも無意味どころかかえって“待遇”が悪化することにも。
安楽死を人殺し扱いしないでくれ
末期医療を巡る混乱と偽善
ホスピスケアはハッピーエンドか ← 安らかに最期を迎えられるわけでもない。
最期は自ら決められるものなのか
「病院ランキング」は有害である
「告知」の無責任
○○すると癌になるというインチキ
間違いだらけの癌闘病記 ← 芸能人・作家などの闘病記の害悪
インフォームドコンセントハラスメント
「がん難民」の作られ方
癌の「最先端治療」はどこまで信用できるか
贈り物は喜んで受け取るべきである ← ぐっときた。

偽悪的な人情本。

★★★
いつのまにかストリートビュー対象エリアになっていた。県道は表示されるが、さらに手前の狭い市道は表示不可。
あと5kgがやせられないヒトのダイエットの疑問50
あと5kgがやせられないヒトのダイエットの疑問50 太りやすい体質ってあるの? 部分的にやせることはできる? (サイエンス・アイ新書)あと5kgがやせられないヒトのダイエットの疑問50 太りやすい体質ってあるの? 部分的にやせることはできる? (サイエンス・アイ新書)
(2009/06/16)
岡田 正彦

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「人はなぜ太るのか―肥満を科学する」の著者のダイエット科学本。続いて読む。苦手な横書きなので読むのをほったらかしていたが、読み始めたらすぐ読了。あいかわらずかんたんでよくわかる文章。

巷の流行ダイエット法が、実際効果があるのか、無いのはなぜなのか、ちゃんと根拠を示して指摘。「スロトレ」も特に効果的であるとの根拠は無く、本書でも説明してある「ふつうの運動」をすればよい、とのこと。

結局、「適度な食事と運動の生活を習慣とする」以外は無いという、あたりまえの事実しかないわけだ。

「そんなめんどくさいことはできないからなにか特別な方法で短期間にやせたい!」と非科学的なやり方に挑んでも、かえって肥満を促進したり身体に害になるだけというのは、もっと周知徹底したほうがいいと思った。

★★★
工場のトイレ、雨漏り修理の見積もり。
医療にたかるな(村上智彦)
医療にたかるな (新潮新書)医療にたかるな (新潮新書)
(2013/03/15)
村上 智彦

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タイトルも刺激的だが、中身はもっと刺激的。病気を誘発するだらしない生活態度のあげく医療費を使いまくる高齢者や、既得利権保守にのみ奔走する無能な行政・組合、取材もしないで間違ったことを報道するマスコミなど、ボロカスに糾弾。

夕張市の破綻は地元住民の「たかり体質」が大きな要因だ、その体質は日本全体に蔓延するものでもある、とか。

無能の集団が「みんなで考えましょう」「みんなで話し合いましょう」で誰も責任をとろうとせず、ちっとも何も決まらず何も進展しない暗愚さとか。

しかし決して口だけ、ではなく、著者が医療現場で感じた問題点や実行してきたその問題への処方箋が、わかりやすくまとめてある。立派な病院を建てても地域医療のためにはならない。生活習慣を改めて病気予防に努めるよう、地域住民みんなが自助努力したほうがよっぽど医療費節約になるという効果が数字に表れている。

言いにくいことをはっきりと書いて、未来のために正しく怒りまくる著者の強さに感嘆。

病院の待合室に置いておけばいいんじゃないのか、この本。
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